現代人は多くのストレスに晒されています。過労が不眠を起こすことも少なくありません。このような体や心の長時間の疲れで医者に不眠薬を貰う人が増え続けるのも無理もないように見えます。しかし、一時的に済ませるはずが、睡眠薬がいつの間にか無しにはいられなくなり、種類も増えて、薬漬けから抜けられない人の悩みが多く寄せられてきています。ひどくならないうちに、習慣性のない漢方薬を是非活用して症状を緩和してもらいたいと思います。
漢方では不眠のおおもとに「心」(しん)が絡んでいると考えます。心と言っても単なる心(こころ)の意味だけでなく、心臓の意味だけでもなく、漢方の扉のわかりやすい漢方薬の世界(2)でふれたように五臓六腑としての「心」です。いわば心臓を取り巻く心気や心血のエネルギーの意味と捉えていただきたいと思います。
この心気や心血が不足しても眠れなくなりますし、加齢やその他で腎の力が不足すると心と腎の流通が悪くなって眠れなくなることもあります。
①寝付きが悪い
ストレスが絡んでいることが多いです。ストレスのもやもやの熱気を冷まして安心効果のある酸棗仁湯がお勧めです。中にはストレス、心配事が続いて心血不足の人がいます。その場合は帰脾湯がいいです。
②睡眠が浅い
心の力が弱った心虚の人が多いです。安心効果もある柏子養心丸がお勧めです。
③朝早く起きる
加齢によって多くなるこのタイプは腎のエネルギー低下が絡んでいることが多いです。腎を助ける薬がお勧めです。金匱腎気丸、八味丸、杞菊妙見丸、海馬補腎丸、至宝三鞭丸等色々あります。又、心と腎の流通が悪くて眠れない場合があります。その場合は天王補心丸がお勧めです。
不眠にはこの他、驚きやすい不安なタイプの人に柴胡加竜骨牡蠣湯や、不安感が強く寝付けない人に甘麦大棗湯や、食べ過ぎ・飲み過ぎが続いているタイプの人に温胆湯が良いなどいろいろあります。ご相談ください。
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